魔法は効かない 呪いは解けない

うわー!死にてー!全て自分で仕組んだことなのに誰かに責任をとってもらいたがっている。


彼氏と別れた。
正確に言うと、1度距離を置いてその期間中にお互いのことをきちんと考えるという冷却期間を置くということだ。
さらに正確に言うと、私が彼氏と今後付き合っていけるかどうかを私ひとりが考えて最終的に結論を出すための猶予期間である。

初期衝動でずっと生きていけないのなら私たちきっと友達でいるほうがうまくやれる。
本当は、DVとか私が彼氏に言った酷いこととか、そういうのは別にどうでもよくて、私がもう同情心だけで彼氏と一緒にいることに耐えられなくなった。この提案を持ち出したとき、それはもうお互いダムが決壊したようにワンワン泣いた。私はこれから彼氏が いなくなるという寂しさというより、とんでもない決断をついに自分自身がしてしまったという後戻りの出来ない不安や恐ろしさによってワーワー泣いた。今まで散々別れたほうがいいとまわりに言われながらも、そして何度も浮気しながらも結局別れることなくここまできてしまったのはひとえに私に決断力がなかったせいだ。今までの、人生に対する決断力のなさが恋愛まで持ち越されてしまった。考えているようで何も考えていないよね君はと、見抜ける人なら見抜けてしまう私の臆病。

最後は泣きながらキレてキレすぎて冷静になった。そんな私の隣で彼氏はほぼ過呼吸ぎみであれこいつ死ぬのかな?私がいないとやっぱり死ぬのかな?と、やっと彼氏にぶつけることができた愛や恋だの綺麗な言葉では誤魔化せない同情心がむくむくと膨らんできて「あっうんまあでも別に別れるって決まった訳じゃないしそんなに落ち込まないでよ人がこんなにも悩んで決断したんだからあなたが泣くのはずるいよとりあえず私の誕生日までは恋人でいるしあなたの誕生日までには結論だすし...何も絶交するわけじゃないんだからメールだってLINEだってしていいよ?ただ夜会えなくなるだけで、、あなたの誕生日って10日後ぐらいなんだから私が自分探しのプチ旅行にでると思ってさあ10日だけ我慢してよ。」っておい!予防線はりすぎ!!別れる気ないだろ!!

泣きじゃくられながら「ずっと待ってるから、俺が好きな気持ちは一生変わらないから」と言われた。



別れ話の前に彼氏と夜桜を見たのだ。
淡い雪のような花びらがライトアップされて鮮やかなピンクに染まっていて幻想の世界のようにきれいだった。屋台の食べ物は全部はんぶんこした。わたし春に生まれて幸せよ!!って笑っていたのに私はおいちゃんや不倫の彼のことを考えた。ふと隣に誰がいたらいいだろうと考えて誰もいなくなった。私の隣にいるのはいつも寂しさや悲しさだ。

昔のように死ぬことについては不思議と考えなかった。桜を見ては泣いていた。花が咲けば泣き、花が散れば泣いた。私は全うに思春期の感傷に振り回されていた。思考はどんどんシンプルになっていく、どんどん色んなことを忘れていく。好きな人たちを好きな気持ちもいつか忘れていくだろうか。

そろそろ疲れた。

だから私は彼氏と1度離れて、おいちゃんに告白をして全部終わらせなきゃいけないんだ。
私に呪いをかけたのは世間でも彼氏でも好きな人達でも過去の思い出でもなく、私だったんだね。

だから私は彼氏ともう1度付き合う前に、おいちゃんに告白をする。本当はおいちゃんの5月の誕生日に告白するつもりだったからこれは誤算だが。

なんで水曜日学校あるんですか...行かなくていいかな学校....健康診断とか....今さら悪いところだらけだし....おかしいところたくさん、とくに頭がね....絶対夜眠れないし朝から動悸で死ぬと思うんだよね。告白したことないし!告白するときってどんな服着ればいいの?!

約束メールを保存して嬉しくて切なくて少しだけ泣いた。



彼氏にまつわる相談というのは二人きりで会うための口実。そして本当に私が終わることへのカウントダウンで彼氏のことをもう1度好きになる希望です。希望と言い張らなければ。
だってもう仕方ないよ、待ってるって言われたら私のような人間を待ってくれるのはこいつだけしかいないって思うじゃない。だってもうわかんないんだよ、どうやったら彼氏が私を嫌いになるのか。散々奈落の底に突き落としてきたのに。


私って案外普通の人間だから、悲しい別れが嫌いなんだ。
全部なくす気なんてさらさらない。