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毎日も手作りだよね

今なら部屋の窓を開け放って六月の湿った空気肺一杯に吸い込んで、ひとつの淀みもなくあたし幸せって言える気がするの。大嫌いなお母さんにも優しくできる気がするんだ。

たった数メートル、たった数十歩、恋人の部屋から駐車場までのたった数分の距離、手を繋いで歩く私の幸せ。
恋人のベッドにふたり根を張って汗と精液と体温にまみれながらお笑いdvdとバラエティ番組と映画を見ていたら夜が来て夜が明けてそしたらまた夜が来て、逆転した生活、深夜のコンビニにパジャマのまま出掛けてしまってスイーツを買おうね、手を繋いで、これが私の幸せ。
ラーメンズ東京03も言葉遊びが本当に天才的だよね、としか表現できないくらいの語彙力で頑張って感想言ってみる。テレビの中もこの部屋の外も誰かの思惑や悪意で出来てるって好きなバンドは言ってたけど、私たちの毎日は手作りだよね。誰も踏み込めない分厚いルールでふたりを囲うの!日の当たるところはおいちゃんにわけてあげるからお願い。日の当たるところでも寒くなるきっと。猫の額ほどの土地でその希望に焼かれて死んでもいいからお願い。

土曜日においちゃんの家でメンバーさんと宅飲みしたら、私懲りずに絡み酒してしまうし、そしたらおいちゃんは私の横に座って「俺もう気にしてないよ?だいぶ吹っ切れた、だから元気だして?」といきなり大公開傷口に塩だし、メンバーさんはすでに事情を知っていてかつおいちゃんから相談を受けていたという事実が判明するし、私のクソビッチと過去の過ちをこの場で舞台にあげて笑いにかえて幕を閉じてしまおう感がすごくて「やだやだやだーー!殺してくれーー!一思いにトドメを刺してくれー!さもなくば今この場で死ぬ!」と不穏な言葉を叫んでいたらおいちゃんが後ろから抱き締めてそしてほっぺにちゅーしてくれて慰めてくれた。みんなの前で。....他人の目のある中で。
冷やかしムードの一切ない和やかな雰囲気の中で私の片想いがやっと成就した。誰の目にも間違いなく映ったでしょう?私今幸せ、私この人が好き、これが私の好きになった人よ。って世界中に言い触らして歩きたい気分だった。どこに降り立っても過不足なく愛を説けるような真剣さで。

「君がいつまでも後ろめたさを感じて、俺は俺で沈んだままで一緒にいて楽しい?楽しくないでしょ、だったらどうにかするしかないんだよ」ってそう教えてくれた人は今まで一人もいなかったよ。どうにかするしかなかったけれど私ではどうにもできなかったから死のうと思ったんだあのとき、おいちゃんがそう言ってくれるならどんなに狂ってもちゃんとやれる気がするよ。

必死に抵抗したけど見られた左腕、赤いみみず腫の傷痕「馬鹿なまねするなって言っただろ、へんな気起こすなって、あのときどういう気持ちで俺が言ったのか君わかってるのかよ」って1時間おきの確認作業、「痛そうに見えるけどそんなに痛くない、というよりおいちゃんの痛みに比べれば」と笑う私の頬をつねって叱る32歳...サイコーかよ...私理不尽に怒鳴られる経験は数えきれないほどあるけど、きちんとした理論の元できちんと叱られたことそんなにないから普通にときめいちゃうんだよねごめんね...叱られるために自傷してるわけじゃないけど。自傷とか、他人から見れば痛くて悲しくて理解できないようなことを、繰り返す理由を理解してもらいたいと思わない。時間の無駄だと思う。私は見せつけるためにしているんじゃないもの。あなたが悲しくてどうしようもないときにカラオケで叫ぶのとどう違うの?ってんなわけねーだろ、自分がおかしいと自覚しろ。自分が一番可愛いことくらい認めろ。うかうかしていたら手段が目的になるからね。動脈切る前に、自分がおかしいって自惚れじゃない心のちゃんとしたところで気づきましょうね。

慣れてくるともはや自傷は作業と一緒だから本人からすると、少なくとも私は、痛くも痒くもない。けれど、自分を思ってくれる人がそんな不健康なやり方でしか自分を維持してられないっていうならそれがこの世で一番の不条理だと思うし、あなたの痛みはあなたの痛みでしかないって教えてあげたい。
こんなに頭と体、わたしとわたしが簡単にバラバラになるような時代だもの、痛みで繋ぎ止めるのは正常な感覚と言えないでもないけれどそれも虚しくなるだけよ。
私はこうして文章を書くことでどうにか繋ぎ止めているけれどそれがどれほど力を持っているのかはわからない。だからせめて好きな人くらいには私っていう人格や肉体を刻み付けたい、背負ってほしい。私も背負うから。あなたが信じる私を信じるから。


貴方の好みならなんでも分かっているのよの配色の下着。少し高めの黄金色のはちみつ。新しい石鹸の袋を破いたときのほのかな香り。もう昔の気持ちは忘れちゃったなあ。死について考えない自分に焦燥を感じて慌てておいちゃんの死体を見る。
星はただ綺麗としか言えなくなった。

本当は言いたいことなんてあんまりないんだよね。
もしくはきっとずっと同じことが言いたいんだと思う。

あの部屋のエアコンディションは最高で、テレビとパソコンの明かりだけがチカチカ眩しくて、おいちゃんの真っ黒の目が私を見つめるときいつも言葉が出ないのは、話しているそばから私の大切な気持ちが消えてしまう気がするからです。言葉に出来ないものは言葉にしてはいけない。瞳の奥の沈黙の中のほんとうの気持ちを知りたくて重たい沈黙に耳をそばだてる。涙がでそうな幸せのときと悲しくて仕方がないときの胸の痛みはなぜこれほどまでに似ているのかしら。

おいちゃんの足を舐めた。服従されたかったのにあんな顔ずるい。

恋の話ばっかりしてると馬鹿っぽいから趣味がほしい...。
趣味がおいちゃんなんだよね...。