君の病気は治らない

眠れないからブログを書きます。


2017年、2018年、書こう書こうとは思っていたけれど、日々の移り変わりの早さに私自身息も絶え絶えで、なかなか筆をとる気になれませんでした。


本当に毎日色々なことが起こり、その出来事の大半は私を苦しめるものでした。当たり前のようにしぶとく「死にたい」と願いながら、当たり前のように年を越しました。




おいちゃんのこと


喧嘩ばかりだった。

はたから見れば、超がつくほどのバカップルだ。一緒にいる間は基本的に肌が触れ合い、人目をはばからずキスをし、スキンシップをとり、おいちゃんは私のために毎日ご飯を作ってくれた。

旅行もたくさん行った。

〇〇ツアーズへようこそ!!と言って、全てのプランを考えてくれた。神奈川の夜、「これからもよろしくね」と書かれたチョコレートのプレートがのったパイをプレゼントしてくれた。私はなんとなく、このまま上手くゆけば結婚するのかもしれないと思った。

赤レンガ倉庫で似顔絵だって書いてもらった。おいちゃんは1番高い額縁を買って部屋の壁に飾った。

絵に書いたような幸せ。それでもただひとり、私だけがダメだった。


理由なんてもう考えない。

自分がこうなった理由なんて、ゲロを吐き続ける苦しさに似た作業、それこそ血を吐くような思いで何度も何度も反復した。気質、幼少期からの家庭環境、思春期の課題、自殺未遂、自傷行為、親戚との関係、恋人からのDV、自信のなさ。

考えたのだ、原因を。でも、目の前の困難の処理の仕方がわからないのだ。どうしたって。


おいちゃんは言った。仲がいい先輩も同じことを言った。

「あきちゃんは俺との関係を壊したいんだと思うよ。俺はいつもそんな気がしている。あきちゃんは俺のこと好きじゃないんだと思う。」

「あきちゃんはぶっ壊したいの?刺激がないと生きていけない系女子?」と。


私は面食らった。そんなつもりなかった。

幸不幸はそれぞれの価値観だが、私はいつだって物事はいい方向へ転がった方がいいと思って努力をしてきたつもり...だったのは私だけだったのか。

この期に及んでまだ、破滅思考だの破壊衝動だのに人生を預けているのか。


そんなわけないじゃない、私はおいちゃんのことが好きだよ。

浮気だって、私が人に求める愛情の大きさがみんなにとってはあまりに巨大すぎるとわかっているから、一緒に潰れないように愛情を分散しているだけだよ。なんていうのは、ただの言い訳にすぎないが、常に誰かに求められていないと自分を肯定することもできず、アイデンティティがバラバラになって、パニックになる、そんな感覚あなたにわかる?

私だって望んでこうなったわけじゃないよ。


おいちゃんは私が浮気をしても、「そうさせてしまうくらい、俺が辛い思いをさせてしまったんだね」と泣いた。私は復讐のつもりだった。確かに私は、その時期おいちゃんの言動に傷つきっぱなしだった。

「浮気して心は晴れた?辛かったでしょ?だったら俺を責め続ければいいのに。」最大の責めだった。私が自分以外の異性とキスをし、抱き合い、肌を重ねている様を未来永劫何かある度に思い出してその度に傷つけばいいと思った。

そう思っていたのに、私は許されてしまった。私がおいちゃんにした仕打ちは、大抵許されてしまう。

本当においちゃんと別れる、となった時も、おいちゃんが最初に発した言葉は「怒らせるようなことばかり言ってごめんね」だった。

私たちはあうたびに泣いていた。


許されてしまったことの罪悪感の重みに打ちのめされて、私は2週間寝込んだ。

それでもおいちゃんはずっと私のそばにいた。


人は許されないことで、生きていけるのではないだろうか。おいちゃんは私を時々その容赦ない優しさで殺す。



2018年、私たちはあるひとつの約束をした。


私はメンヘラだが、おいちゃんも大概子供っぽい。それはもう、個人個人で治していこう。女性経験が今まで無かったから見なくてよかったものを、私という人生初めての彼女にしてはあまりに強烈な人間にすべて暴かれたでしょう。あなたはまだ子供よ。でも、わたしもまだ子供で、あなたに育てられている最中だ。一緒に成長していこうね。どうしてもダメなところは二人で支えあおう。


そういう約束をした。

それからは、驚く程に喧嘩をしない。

穏やかすぎて不安になる、いい事の後には悪いことがあるという思考回路。

私は幸せになってはいけないという呪い。


悪いことは悪いことで起きたらめちゃくちゃ辛くて死にたくなるのに、幸せな時くらい安心できないものか。無理だろう、もう。

もう、諦めている。

心なんて一生不安さ。

過去を起点とした未来に脅され続ける毎日。

だから私は今日も眠れないし、意味もなく泣いた。今すぐにでも胃の中のものと一緒に吐き出したい。

似たような絶望や怒り悲しみや寂しさは、あらゆる本や小説、映画やドラマ、音楽にのっているけど、やっぱり私だけの痛みだよ。誰にもわかってもらえなくて構わない。

どうせ助かるなんて思ってない。

ずっとそうやってやってきたんだから、これからもそうしていくほかないんだよ。



不倫さんのこと


連絡がつきません。

不倫さんの個人の電話、電源が入っていないアナウンス(着拒のアナウンスではない)が流れる。

奥さんにバレないようにと教えてもらった、不倫さんの会社の携帯電話は、お留守番サービスにつながる。

メールは解読不明のラリったような文章のあと、やり取りをしていない。

私のことがもう必要ないならそれで仕方ないけれど、そういう人じゃないのは2年一緒にいればわかる。

何より、会社の電話がつながらないということは会社に行っていない可能性もあるわけで、そうなるともう安否の確認レベルの話だ。


引越し、奥さんにバレて身動き取れない、入院、あるいは最悪の場合。

これを確かめられる関係でないことを、今1番後悔している。


携帯がなくなっちゃったらもう終わり。

それくらい危うい関係だったのだ。



最後にみた不倫さんは、食欲はあるものの表情に乏しく、私の話に対しても反応が薄く、弱々しく笑い、とにかく心ここに在らずだった。うつの症状だとすぐに感じた。


よほど性欲が強いか、モテるかでない限り、だいたい不倫なんてものにハマル男女はそれなりに何か抱えているものだ。

私は寂しさ。

不倫さんは何だっただろう。でも不倫さんが「あきちゃんに会うと癒される」と言ってくれる時は、大抵仕事のプレッシャーに押しつぶされそうな時だった。

私は働いていないから、本当の意味でその苦しみをわかってあげられないのが辛かった。


不倫さんはとても真面目で責任感が強く、30代で会社の重要な案件を任されるほどの優秀な人で、且つ手を抜くということを知らない人だった。

真面目な人はうつ病になりやすい。

その典型だった。


しょうがないと思うしかない。

だって私はそばにいてやれないもの。



私がうつ病だったことの経験を、まったく人に還元できない。

本当に死にたい人間に対して周りができることなんてない。

最後は自分で乗り切るしかない。それまでの手助けなら出来るんじゃないかと思っていたが甘かった。


悔しいけれど、奥さんに託すしかない。




おいちゃんとじゃなければこの人だと本気で思っていた。

私が泣くたびに、「俺がいるから大丈夫」ととてもとてもとても優しい声で慰めてくれた。

おいちゃんともまだ行ってないのに、ディズニーだって行ったし、草津温泉にも行った。

私のために有給をとって、何度も夜を過ごしてくれた。

あきちゃんが俺を選んでくれるなら、俺は奥さんと別れてあきちゃんと一緒になる、と本気みたいな顔で言ってた。

セックスだってめちゃくちゃ上手いし、横顔が綺麗だった。いつもコーヒーと煙草の匂いがした。


私は確かに、不倫さんに恋をしていた。

この人がお父さんだったらいいなあとも思っていた。不倫さんは、私が理想とするお父さん像そのままみたいな人だった。海みたいな人。

たやすくその情景がうかぶ。

不倫さんのことを守りたいとも思っていた。これが慈しむということかもしれない。


ふたりの生活を思い描いてはしゃいだこともある。頭のどこかで、もしかしたらそうなるかもしれないって思ってた。

何かきっかけさえあればすぐにでもそうなっていいと思っていたから、その理由付けのためにおいちゃんと喧嘩をしていた、最低だけど、自分を納得させるためにはそれしかなかった。逆に言えば、おいちゃんと別れさえすればすぐにでも不倫さんと結婚したかった。


不倫に未来なんてないことくらいわかってたよ。いつか来る終わりを見ないように、私たちだけはドラマや映画のエンディングとは違うよねって互いが互いを終わらせないように、わざとそういうドラマを一緒に見たり、もしものための慰謝料なんかを本気で計算していた。


所詮なんて、他人に絶対言われたくないけど、私は確かに少しずつ不倫さんのことを忘れていっている。


明日の朝もとても早いのに眠ることも忘れてしまうような生き甲斐がこんなものだったなんてね嘘みたいだろう


嘘みたいでしょう

サラサラと砂の城が崩れていくように、少しずつ少しずつ不倫さんの記憶が消えていって、私は不倫さんがいなくても生きていくことができてしまって、遠い昔話として、綺麗で切ない恋物語として、不倫さんを永遠の中に閉じ込めてしまうのだろうか。


こんな形で。

さよならも言えてないし、聞いてもないのに?

忘れてしまうことを悲しいとは思わないが、生きてることくらい知らせてよ。


とても天気が良くて、不倫さんが飼い犬を散歩するにはもってこいみたいな日に、ひっそり不倫さんの家を訪ねてみようと思うのです。


私は自死を否定しないけれど、好きな人が目の前で命を絶とうとしたら全力で阻止します。当たり前のことだろう。

責任なんて負わないけど、生きていてほしい。



浮気のこと


自分が愛する人が、本当に自分のことを愛してくれていると思い知ってはじめて「この人を裏切ったらこの人はとても悲しむだろう」という認識がうまれた。

ここに行き着くまでに1年10ヶ月かかった。


おいちゃんを悲しませたくないと思ったから、今までの関係を持った男達全員きった。


性的な関係をということだが...


食事、買い物は私の利益になるので利用できるだけ利用したい。



また、本命がいるって知ってるのに愛だの恋だのに胸を焦がして一方的なアプローチをしてくるおっさんどもが出来たけど、もう眠いのでいいや。


6:47


おやすみ